以前この記事でもお話ししましたが、スライスを治したいならまずスライスしにくいドライバーに買い換えることを強くオススメします。
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なぜなら、つかまりの悪いドライバーでスライスを打たないようにスイングしていると、逆にスライスしやすいスイングが身についてしまうことがあるからです。
スライスしにくいドライバーはゴルフドゥなどの中古市場であれば、3万円以下でいくらでも見つかります。スライサーを卒業する為の必要経費として最低限これくらいのお金は投資すべきだと思います。
初心者がいきなり7〜8万円以上するニューモデルのドライバーを買う必要はありません。そういうドライバーに憧れる気持ちはわかりますが、それがスライサーから卒業する為に必要なドライバーとは限らないからです。
憧れのドライバーはあなたがスライサーを卒業したら使えばいいのです。まずはスライスしにくいドライバーを使ってせっせと練習を積み、スライスしないスイングを身につけることが先決です。
ということで前置きが長くなりましたが、今回は中古市場に出回っているドライバーの中で僕が個人的にオススメするスライスしにくいドライバーをランキング形式でご紹介していきたいと思います。
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スライスしにくいドライバーの条件
スライスしにくいドライバー=ボールのつかまりが良いドライバー=フェースが返りやすいドライバーです。数値で表すと以下のような条件を満たすドライバーであると言えます。
スライスしにくい「つかまりの良いドライバー」の条件
①FT値 : 1.0以上
②重心距離が短い : 35mm以下
③重心角度が大きい : 25°以上
④重心深度が深め
⑤フックフェース : +2°以上
⑥ロフト角が大きい
この中でも特に重要な数値は①のFT値と②の重心距離、③の重心角度です。FT値についてはこちらの記事をご覧ください。
今回のランキングは大手ゴルフクラブメーカー14社で2017年〜2020年に発売した中古市場に出回っているほとんど全てのドライバーを私が最も信頼するクラフトマンが数値計測し、FT値の高い順にランキングしました。
ただし、前述の通りクラブのつかまりの良さはFT値だけでなく、その他の数値やシャフトの特性によっても左右されます。そこでFT値が高いドライバーを私とそのクラフトマンが実際に試打して、個人的な感想やオススメ度もコメントさせて頂きました。ぜひ順位だけではなく、コメントもご覧ください。
ちなみに「ベスト10」としていますがここでご紹介している全てのドライバーが非常につかまりがよくスライスしにくいクラブです。スライス対策としてはどれを選んでも十分な効果が期待できます!
スライスしにくい中古ドライバーランキング
第1位 プロギア RS E
プロギア RS E データ
FT値 1.28
重心距離 36.8mm
重心深度 47.2mm
重心角度 34.5°
重心高さ 31.1mm
低重心率 59.6%
フェース角 0.2°
ヘッド左右慣性モーメント 4885g・㎠
ヘッド容積 460cc
ヘッド重量 202.6g
2019年発売
このクラブのすごいところはつかまりの良さと飛距離とやさしさというドライバーに求めたい3大要素が全て高いレベルで成し遂げられている点にあります。
まずつかまりの良さと飛距離について。
通常、つかまりの良いドライバーというのは重心距離を短くしてフェースの返りを良くするのですが、重心距離を短くすると飛距離も出にくくなるというデメリットがあります。しかしこのRS Eは重心距離がそこそこあるのに、それを大幅に上回る深い重心深度(47.2mm)によってめちゃくちゃつかまるクラブに仕上げているのです。つかまりの度合いを示すFT値1.28は当然今回ご紹介するクラブの中でNo.1。つまりめちゃくちゃつかまりが良く、しかも飛ぶドライバーだということが数字から分かります。
実際に試打してみるとその数字の通り、クラブをリリースした瞬間にフェースが急激に閉じていくのが実感できます。普通にスイングするとドローからやや強めのフックしか出ず、わざと強振して右にプッシュするように打ってもみましたが、それでもしっかりドローで戻ってきていました。これほどフェースが返りやすいと初心者のスライサーでもドローが打てるかもしれませんし、長年スライスに悩まされてきた人も力まずに振れさえすればそれだけでスライサーを卒業できるでしょう。
また長めの重心距離によって増大したパワーで飛距離も出ます。元々RSシリーズが追求しているルール限界の反発係数の効果もあり、僕の場合で15〜20ヤード飛距離が伸びました。
最後に特筆すべきがやはりやさしさです。
4885g・㎠という巨大なへッド左右慣性モーメントによって、芯を外してもフェースが全然ぶれません。したがってボールはクラブパスの方向にまっすぐ飛んで行ってくれます。フェースがブレないということは余計なサイドスピンがかからないのでスライスしにくくなりますし、インパクトでボールをしっかり押していけるので強い球を打つことができます。
実際、わざと芯を外して打ってみてもヘッドがブレる感覚は少なく、割と分厚いインパクトになります。もちろん球を曲げたりするのには向いていませんが、ドライバーは真っ直ぐ打つのが基本ですのでやさしいに越したことはありません。
過度なサイドスピンで右に吹け上がる、風に弱い、飛距離が出ないといったスライサー特有の弱点を全て解消してくれるドライバーだと思います。
ただ、ドローバイアスが極端に強いドライバーですので、スライスの克服という一点については良いのですが上達してしっかり球をつかまえられるようになると今度はフックやチーピンに悩まされる可能性が高くなります。長く使っていくにはあまり向いていないので、個人的なオススメ度は★★とさせていただきます。
第2位 タイトリスト TSi 1
タイトリスト TSi 1 データ
FT値 1.20
重心距離 37.0mm
重心深度 44.5mm
重心高さ 35.1mm
低重心率 66.4%
フェース角 1.0°
ヘッド左右慣性モーメント 4905g・㎠
ヘッド容積 460cc
ヘッド重量 193.0g
2021年発売
FT値が脅威の1.20を叩き出し、抜群のつかまり性能を誇ります。ミートさえしてあげれば自然にドローがかかるレベルなので、よほど振り遅れない限りスライスのミスはなくなるはずです。
さらにヘッド左右慣性モーメントが4905g・㎠もある為、芯を外して打ってもヘッドがブレにくく、真っ直ぐ飛んでくれます。慣性モーメントの大きいクラブはマン振りした時に右へすっぽ抜ける心配もありますが、このクラブはそれ以上にフェースの返りが良いのですっぽ抜ける感じは全くありません。まさに右へのミスを恐れずに自信を持って振っていけるドライバーです。
しかし、このドライバーの本当の真価はFT値や慣性モーメントではなく、ヘッド重量の軽さです。193gしかない軽量ヘッドは振り遅れにくく、ヘッドスピードも加速しやすいので、思い切り叩いてもしっかりつかまりながら飛ばせます。体に力の入るような緊張感のある場面でも大きなミスにつながるリスクを減らしつつ飛ばせるこのドライバーが、金メダル獲得に大きく貢献したと言っても過言ではないでしょう。ただし、軽すぎるとクラブの重さを感じずに手打ちになるという弊害もあります。
このクラブについて気になるのは、重心の高さです(低重心率66.4%)。重心が高いのでスピン量が多くなりやすいのです。実際に私が試打してみた時も、ボールが高く吹け上がってしまい飛距離を大幅にロスすることが何度かありました。
ネリー選手のように打点が毎回安定しているプレイヤーはもちろん問題ないでしょうし、一般女性やシニアの方ならスピン量が増えることで飛距離を伸ばすことができますが、ヘッドスピードのそこそこある一般男性だと吹け上がってしまう可能性も高くなります。この点が気になり、私の個人的なオススメ度は★にさせていただきました。
ちなみに、力の強い方や若い一般男性は4位にランキングされているTSi2の方がオススメです。このドライバーはTSi1とほぼ同じ特性を持ちつつヘッドが重くなっていて、重心も低く設計されているので吹け上がる心配もありません。
TSi 1 → 女性やシニアにオススメ
TSi 2 → 力の強い人や一般男性にオススメ
TSi1は金メダル効果で爆発的な人気となっていて中古市場ではかなりタマが少なくなっていますが、TSi2はたくさん在庫があるのでそういった点でも狙い目です。
どうしても金メダルモデルの「1」が良いという人は良さそうな出物を見つけたら売れちゃう前に速攻で購入した方が良いと思います。その場合、シャフトは純正のTSP-013がスライサーにはオススメです。つかまりが良く、適当なしなりを感じながら振れるのでやさしくて良いシャフトだと思います。
第3位 ピン G425 SFT
ピン G425 SFT データ
FT値 1.17
重心距離 40.0mm
重心深度 46.8mm
重心高さ 38.1mm
低重心率 67.3%
フェース角 1.0°
ヘッド左右慣性モーメント 5121g・㎠
ヘッド容積 460cc
ヘッド重量 200.0g
2020年発売
まず前提としてお伝えしたいのがその慣性モーメントの高さです。G425シリーズはピン史上最大の慣性モーメントを謳っていて、だれもが簡単に飛ばせるクラブを目指して作られました。
実際に数値を計測してみると、G425 SFTのヘッド左右慣性モーメントは5121g・㎠もあります。ここ10年間に日本で発売された全ドライバーのなかで、この数値が5000g・㎠を超えるのはたったの8%しかありませんので、いかに大きな数字かということがお分かりいただけるかと思います。
ヘッド左右慣性モーメントが大きいということはボールを打った瞬間のヘッドのブレが少なくなり、多少芯を外して打っても飛距離ロスが少なく、真っ直ぐに飛んでくれます。つまり誰が打っても簡単に飛ばせるクラブだということです。
また、これも巨大慣性モーメントの恩恵かもしれませんが、低重心率が67.3%と高めなのにTSi1のような吹け上がる感じが全くありません。おそらくヘッドのブレが少ないのでそもそもバックスピン量が少なく、吹け上がり現象が起きないものと推測されます。
そんなG425の中でも「つかまり」重視に設計されたこのSFTは、FT値が1.17もあり、抜群のつかまり性能を誇ります。高FT値のクラブは重心距離を短く設計するものなのですが、G425シリーズは慣性モーメントを大きくするために重心距離も長くなっています。
一般的に重心距離を長くすると、右にすっぽ抜けるようなプッシュスライスがでやすくなるものなのですが、このG425 SFTにはその感じが全く感じられません。メーカーの発表ではヘッドのクラウン部分を極限まで薄く軽量化し、その分の重量をヘッド手前後方に配置したことで重心角を大きくしているとのこと。確かに想像以上にヘッドの返りが良くしっかりとつかまってくれます。マン振りしてもインパクトの瞬間にフェースが勝手に真っ直ぐ向いてくれるようなイメージを持ちました。これなら多少力みが入っても大きなミスになりにくいと思います。
ただ、弾き感が強いというか、球離れが早いようでインパクトが薄い印象があります。ボールを押す感覚が全くなく打感が良くありません。第9位でご紹介している兄弟モデルのG425MAXの打感は非常に良いので、おそらくドローバイアスをかけるための重量配分の結果かと思いますが、私の個人的な感想としてはあまり気持ちよく振れる感じがしませんでした。その為、オススメ度は★★にさせてもらっています。
打感が悪いと力みの原因になることもありますので、打感も重視するなら第9位でご紹介するG425MAXの方がオススメです。
第4位 タイトリスト TSi 2
タイトリスト TSi 2 データFT値 1.14重心距離 39.6mm重心深度 45.2mm重心高さ 35.2mm低重心率 61.0%フェース角 -1.5°ヘッド左右慣性モーメント 5376g・㎠ヘッド容積 460ccヘッド重量 202.5g2020年発売
シャフトは純正シャフトのTSP-110とTSP-322が秀逸です。
とにかくスライスをなくしたい人はTSP-110がオススメ。先がしなる先調子でつかまりが良く、球も上がりやすいです。ヘッドスピード40〜42m/sくらいの一般男性に合うと思います。
第5位 タイトリスト TS1
タイトリスト TS1 データFT値 1.13重心距離 37.3mm重心深度 42.0mm重心高さ 34.3mm低重心率 65.3%フェース角 1.0°ヘッド左右慣性モーメント 4889g・㎠ヘッド容積 455.2ccヘッド重量 194.2g2019年発売
第6位 タイトリスト VG3(2018)
タイトリスト VG3(2018) データFT値 1.13重心距離 39.0mm重心深度 43.9mm重心高さ 30.3mm低重心率 55.8%フェース角 -0.4°ヘッド左右慣性モーメント 4912g・㎠ヘッド容積 457.3ccヘッド重量 193.8g2018年発売
第7位 プロギア RS5
プロギア RS5 データFT値 1.12重心距離 38.0mm重心深度 42.5mm重心高さ 37.6mm低重心率 66.7%フェース角 0.5°ヘッド左右慣性モーメント 5345g・㎠ヘッド容積 455.0ccヘッド重量 200.0g2020年発売
ピン SFT系 → スイングリズムがゆっくり or オーソドックスに振る人
プロギア RS5 → スイングリズムが早い or 操作性重視の人
第8位 プロギア RS(2018年モデル)
プロギア RS(2018年モデル) データ
FT値 1.12重心距離 38.4mm重心深度 42.9mm重心高さ 31.4mm低重心率 59.2%フェース角 -0.5°ヘッド左右慣性モーメント 4695g・㎠ヘッド容積 450.4ccヘッド重量 198.5g2018年発売
力任せに振ってしまう人で、スピン量が多すぎてスライスになっている人にはこちらのクラブの方がオススメです。私の個人的なオススメ度は★★★です。
第9位 ピン G425 MAX
ピン G425 MAX データFT値 1.10重心距離 45.0mm重心深度 49.5mm重心高さ 37.3mm低重心率 67.8%フェース角 -1.5°ヘッド左右慣性モーメント 5775g・㎠ヘッド容積 457.2ccヘッド重量 204.0g2020年発売
つまり、G425MAXにALTA J CB SLATEが刺さっていれば、クラブの恩恵を受けてスライスを防ぎつつ、更にスライスしにくいスイングを身につけるのにこれ以上ない組み合わせとなります
第10位 テーラーメイド M6
テーラーメイド M6 データFT値 1.06重心距離 40.2mm重心深度 42.8mm重心高さ 33.2mm低重心率 62.6%フェース角 -1.0°ヘッド左右慣性モーメント 5045g・㎠ヘッド容積 460.0ccヘッド重量 199.3g2019年発売
元来テーラーメイドはどちらかというと「つかまらない」クラブを作るメーカーで玄人好みの印象があるのですが、前作のM4あたりから程良くつかまり曲がりらない、いわゆるカンタンなクラブも作るようになりました。
このM6もFT値が1.06なのですが、実際に振ってみると数字以上にとてもつかまりが良いのがわかります。前作のアベレージ向けクラブ・M4は簡単ながらもつかまりの良さについてはそれほどでもなく、マン振りすると右にすっぽ抜けることもしばしばでした。しかしこのM6はつかまり性能が向上しており、普通に振ると基本的に軽いドローが出る感じでした。
さらに安定性も向上しています。5045g・㎠と巨大なヘッド左右慣性モーメントを誇っているのですが、フェースにはツイストフェースというテーラーメイドの独自技術も採用されています。これは、フック回転がかかるフェース外側のロフトが大きくオープンになっていて、逆にスライス回転のかかるフェース内側のロフトは小さくクローズになっているので、サイドスピンを抑制し、左右の曲がりを軽減する効果があります。
試打をしていて強く感じたのはその打感のやわらかさです。G425 MAX同様、インパクトでボールをしっかり潰せている感触があり、球離れも早くないので擦りスライスが出ないイメージが湧きます。ほど良いつかまりと、抜群の安定性があるので、スライサーの人も怖がらずに振っていけると思います。まさに誰もがやさしく飛ばせるドライバーです。テーラーメイドが好きな人や初心者なのに上手く見られたい見栄っ張りな人には本当にオススメできるクラブです!
以上、スライスしない中古ドライバーランキング2022 ベスト10選でした!
【参考文献】
プロギア公式HP
タイトリスト公式HP
ピン公式HP
テーラーメイド公式HP
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