クラブヘッドのフェース面は横から見ると角度が付いていて、少し寝ています。この角度を一般的に ロフト角 と言い、特にシャフトの中心線を含む面とフェース面が作り出す角度を リアルロフト と言います。
ロフト角はゴルフクラブには無くてはならないもので、ドライバーやアイアンはもちろん、実はパターにも存在します。
メーカー表記は参考程度に
ドライバーのヘッドを確認してみると 9.5° とか 10.5° というロフト角の表記がありますが、実はこれ、あまり正しくないことが多いのです。9.5度表記なのに実際に測ってみると11度もあった、なんてことはザラです。
なぜ間違った表記をしているメーカーが多いのかというと、ロフト角が大きい=初心者やヘッドスピードの遅い人というイメージを持つ人が多い為、ロフト角の大きなクラブが売れないからだそうです。
そこでメーカーは実際には11度あるドライバーを9.5度表記にして売っているのです。プレイヤーの見栄の為ですね。
ですから、たいていの場合はメーカー表記よりもリアルロフトの方が大きくなっていて、逆に小さく表記されていることはほとんどありません。アスリートモデルと呼ばれるものはリアルロフトとの差があまりないものが多いのですが、アベレージゴルファー用のものは差が大きい傾向にあります。気になる方は一度ゴルフショップで計測してもらうと良いでしょう。
ロフト角がプレイに与える影響
影響1. 打ち出し角度とバックスピン量
ロフト角が大きいほどボールの打ち出し角度が高くなり、バックスピン量も多くなります。ウェッジのロフト角ははたいてい44〜64度とかなり大きめですが、これはボールを高く上げ、さらにバックスピン量も増やすことでグリーン上にボールを止めやすくしているわけです。
逆にロフト角が小さいほどボールの打ち出し角度が低くなり、バックスピン量も小さくなります。ドライバーのロフト角は8〜14度くらいが主流ですが、少なめのロフトは打球の高さを抑えたライナー性の打球が出やすくなり、飛距離を稼ぎます。さらに、少ないバックスピン量で地面に落ちた後にさらにランが出るのです。
影響2. ボールの"つかまり"
打ち出し角度と同じくらい大きな影響があるのがボールの ”つかまり” です。
ロフト角が大きいほどボールはつかまりやすくなり、ドローやフック系のボールが出やすくなります。残り100ヤード未満からウェッジでグリーンを狙う時、ミスするのはたいてい左が多くなります。これはウェッジの大きなロフト角によってボールがつかまりすぎてしまうことの弊害なのです。
一方、ロフト角が小さいほどボールはつかまりにくくなり、フェードやスライス系のボールが出やすくなります。初心者のドライバーのミスがたいてい右方向なのは、ロフト角が小さくつかまらないからです。また最近は5番アイアンなどのミドルアイアンを苦手にするプレイヤーが多くなっていますが、これは近年メーカーがアイアンのロフトを立てる傾向にあり、元々ロフト角が小さい5番アイアンのロフト角が更に小さくなっていることにより、ボールがつかまらなくなっていることが原因だと思います。
初心者はなるべくロフト角の大きめのドライバーを使った方が良い、と言われるのはその方がボールがつかまりやすくなり、スライスなどの右のミスを減らせるからなのです。
飛ばしたいならドライバーのロフト角は見栄を張らない方が良い
8度や9度といったロフト角の小さいドライバーを使うことがカッコいいと思っているプレイヤーが未だにかなり多い気がします。ゴルフクラブは愛着も重要な要素ですので、そういう考え方を否定するつもりはありません。
ただ、ヘッドスピードが十分でないプレイヤーがロフト角の小さいドライバーを使用すると大幅に飛距離をロスします。
飛距離(キャリー)はヘッドスピードによる「初速」と「打ち出し角」と「バックスピン量」で決まります。適切なバックスピンのかかったボールは打ち出した後、揚力の発生によって上昇していき、そのままなかなか落ちてきません。ゆえにキャリーが伸び、飛距離が伸びます。
しかし、このバックスピンは多すぎるとホップしていわゆる ”吹け上がり球” になってしまいますし、逆に少なすぎても急速に失速して”ドロップ”してしまい、いずれも飛距離を大きくロスします。
実はヘッドスピードの遅い人がロフト角の小さいドライバーを使用すると、バックスピン量が極端に少なくなり、力なくドロップすることが多くなります。そうすると、もちろん飛距離は全然出なくなります。
表示ロフトで見栄を張るのも良いですが、実際の飛距離が出ていないと虚しいだけかもしれません。自分にあったロフト角をちゃんと見極めることが重要だと思います。
以上、クラブヘッドの「ロフト角」がプレイに与える影響 でした!
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