度合いの大小はありますが、全てのショットはフェースが開いた(もしくは閉じた)状態か、芯を外した部分でボールを打っています。そうすると、サイドスピンが発生してボールは曲がります。
なぜサイドスピンでボールが曲がるのか?
なぜサイドスピンがかかるとボールは曲がるのでしょうか?スライス回転とフック回転、それぞれの場合でその発生メカニズムについて考えてみましょう。
スライスの発生メカニズム
上の図はショット後に空中を進んでいくボールです。空中に打ち出されたボールは空気を切り裂きながら進んでいきます。この時ボールが進む先にある空気が、ボールが進むと同時にボールの後方に移動しようとします(青い矢印)。これが大きな気流となります。
スライス回転(時計回り)のサイドスピンがかかったボールの場合、ボールの前にある空気の層はそのサイドスピンによってボールの右側を通って後方に押し流されます(ボールの右にある紫の矢印)。すると元々後方に向かって流れている気流がより抵抗なく流れる為、ボールの右側は気圧が低くなります。
一方、 ボールの後ろにある空気の層はそのサイドスピンによって、ボールの左側を通って前方に押し流されます(ボールの左にある紫の矢印)。元々後方に向かって流れている気流が抵抗を受け流れが悪くなる為、ボールの左側は気圧が高くなります。
ボールの右側の気圧が低くなると同時に左側の気圧が高くなる為、ボールには右へ向かう引力が発生します。この引力によってボールは右へ右へと流れていくのです。これがスライス回転のサイドスピンによってスライスが発生するメカニズムです。
フックの発生メカニズム
フックの原理もスライスと同様です。
フック回転(反時計回り)のサイドスピンがかかったボールの場合、ボールの前にある空気の層はそのサイドスピンによってボールの左側を通って後方に押し流されます(ボールの左にある紫の矢印)。すると元々後方に向かって流れている気流がより抵抗なく流れる為、ボールの左側は気圧が低くなります。
フック回転(反時計回り)のサイドスピンがかかったボールの場合、ボールの前にある空気の層はそのサイドスピンによってボールの左側を通って後方に押し流されます(ボールの左にある紫の矢印)。すると元々後方に向かって流れている気流がより抵抗なく流れる為、ボールの左側は気圧が低くなります。
一方、 ボールの後ろにある空気の層はそのサイドスピンによって、ボールの右側を通って前方に押し流されます(ボールの右にある紫の矢印)。元々後方に向かって流れている気流が抵抗を受け流れが悪くなる為、ボールの右側は気圧が高くなります。
ボールの左側の気圧が低くなると同時に右側の気圧が高くなる為、ボールには左へ向かう引力が発生します。この引力によってボールは左へ左へと流れていくのです。これがフック回転のサイドスピンによってフックが発生するメカニズムです。
どれくらいのサイドスピン量で大きく曲がるのか?
冒頭でお話ししましたが、どんなナイスショットであってもフェースが完璧にスクエアで、芯を1000分の1mmも外さずに打っているということはあり得ません。多かれ少なかれフェースは開くか閉じた状態であり、厳密にいえば芯も多少外れて打っています。つまり、必ずサイドスピンは発生しているわけです。
しかしその曲がり幅はサイドスピン量によって決まります。
回転数が500回転/分(RPM)未満なら、いわゆるストレートボールになります。厳密には曲がっているのですが、それが見た目ではわからない程度ということです。
1000回転/分(RPM)くらいだとフェードやドローといわれる曲がり幅になり、さらにそれ以上だいたい1500〜2000回転/分(RPM)を超えるとスライスやフックといわれるような大きな曲がり幅になります。
サイドスピンはバックスピンの一種
ちなみにサイドスピンはバックスピンの一種です。というか、バックスピンの回転軸が傾いたものがサイドスピンです。
ここまでしてきたサイドスピンの説明は便宜上、全て上から見て時計回りか反時計回りの回転、つまり軸が垂直な回転のものとして行ってきました。しかし実際にはそんな完璧なサイドスピンというのはあり得ません。ボールにはサイドスピンと同時にバックスピンもかかっており、それらの回転軸は必ず斜めに傾いているからです。
ちなみに最近流行りのスピンレスの弾が打てるような低重心設計のドライバーだとサイドスピン量も少なくなるのでスライスもしにくくなります。
以上、なぜサイドスピンでボールが曲がるのか? サイドスピンと引力のメカニズムでした!
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