頭脳的ゴルフ道

ゴルフクラブの選び方や練習方法など、頭を使ってゴルフを上達する方法をお伝えしていきます!

なぜバックスピンでボールが上がるのか? バックスピンと揚力のメカニズム

 

 

ドライバーからウェッジ、そしてパターに至るまでほとんど全てのゴルフクラブにはロフト角が存在します。つまり、ボールを打つフェース面が多かれ少なかれ上を向いているのです。上を向いているフェースで打ったボールにはそのフェースとの摩擦力によって基本的にバックスピンがかかります
 
さてこのバックスピン。実はゴルフの中で非常に重要な働きをします。それはボールを高く上げる働きです。
 


なぜバックスピンのかかったボールは上がるのか?


斜め上方向に打ち出した物体は、その打ち出し角のベクトル方向に向かって進んでいき、重力を受けて少しずつ落下してきます。しかし、ゴルフクラブで打ち出したボールはバックスピンによって重力に逆らう力(揚力)が発生する為、簡単には落下してこないのです。

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空中に打ち出されたボールは空気を切り裂きながら進んでいきます。この時ボールが進む先にある空気が、ボールが進むと同時にボールの後方に移動しようとします(青い矢印)。これが気流を生み出します。
 
バックスピンがかかったボールの場合、ボールの上にある空気の層はバックスピンによって、さらに後方に押し流されます(ボールの上にある紫の矢印)。元々後方に向かって流れている気流がより抵抗なく流れる為、ボールの上部は気圧が低くなります
 
一方、 ボールの下にある空気の層はバックスピンによって、前方に押し流されます(ボールの下にある紫の矢印)。元々後方に向かって流れている気流が抵抗を受け流れが悪くなる為、ボールの下部は気圧が高くなります
 
ボールの上部の気圧が低くなり、同時に下部の気圧が高くなる為、ボールには揚力が発生します。一定以上のバックスピン量による揚力は重力よりも大きな力になる為、ボールは上昇していきます。これがバックスピンによってボールが上がるメカニズムです。飛行機が飛ぶのと同じ原理ですね。
 
 

バックスピン量は多すぎても少なすぎてもいけない


打ち出したボールを上に押し上げてくれるバックスピンは絶対に必要なものです。しかしそれにも適正量というものがあります。
 
例えば、ロフト角10°〜14°のドライバーで飛距離を最大にする場合はバックスピン量が2200〜2400回転/分(RPM)必要と言われています。

ドライバーで打ち出された直後のボールはバックスピンによって発生した揚力が重力よりも勝っている為、飛球線方向に前進していきながら上昇していきます。しかし、空気抵抗によってバックスピン量が減少してくると揚力も低下。やがて重力に逆らえなくなって、落下してきます。
 
バックスピン量が多ければ、いつまでも落ちてこない打球になりそうなものですが、そう簡単ではありません。バックスピン量が多すぎると揚力が強くなり過ぎ、ボールは急激に上昇してしまいます。すると、上には行くけど前に進まないという現象になります。いわゆる「吹け上がり」というものです。前に進まないので、もちろん飛距離は伸びません。
 
逆にバックスピン量が少ないと揚力が弱くなり過ぎて重力に負けてしまい、すぐに落下してしまいます。いわゆる「ドロップ」という現象になります。滞空時間が少ないので、もちろん 飛距離は出ません。
 
前進する角度を維持しつつ、滞空時間を最大化することが飛距離を伸ばすポイントです。バックスピンの適正値はこのバランスによって決まるのです。
 
 

ドライバーの飛距離を伸ばすなら高弾道・低スピン


ドライバーで飛距離を出す為には高弾道・低スピン(打ち出し角12°〜17°、バックスピン量2200〜2400回転)で打ち出せるのが理想とされています。しかし飛距離不足に悩むアマチュアゴルファーのほとんどが実は低弾道・高スピンになっています。

バックスピン量はクラブの特性もありますが、打ち方でいくらでも変わってしまいます。吹け上がりに悩むアマチュアゴルファーの場合、バックスピン量が4000回転以上になってしまうことも珍しくありません。これだけのバックスピンがかかっていると、打ち出し直後から強力な揚力が発生しボールが高く吹け上がってしまうのです。 

自分はボールの打ち出し角が高くて飛距離をロスしていると思い込んでいる人でも、実は打ち出し角自体は低いのにバックスピンで吹け上がってしまっているケースが多いのです

この事実を認識しないまま、自分はヘッドスピードが速いからボールが上がってしまうのだと勘違いをして9.5°や8.5°といったロフト角の少ないクラブを握っても、バックスピン量はさほど変わらないので、同じような吹け上がりが起こって結局飛びません。そういう人はロフト角を減らすのではなく、低スピン設計のドライバーにすると良いでしょう。 

実はドライバーの進化はこの低スピン化の追求でもあります。バックスピン量を抑えるには重心よりも高い位置でボールをヒットする必要があります。低スピン設計のドライバーが低重心なのは、 ヘッドの重心が低ければ重心よりも高い位置でボールをとらえることができるからです。さらに重心が浅い方がバックスピン量を抑えられます。その為、低重心で浅重心が飛ぶドライバーに適した重心位置なのです。


 
以上、なぜバックスピンでボールが上がるのか?バックスピンと揚力のメカニズムでした! 



 

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