なぜバックスピンのかかったボールは上がるのか?
斜め上方向に打ち出した物体は、その打ち出し角のベクトル方向に向かって進んでいき、重力を受けて少しずつ落下してきます。しかし、ゴルフクラブで打ち出したボールはバックスピンによって重力に逆らう力(揚力)が発生する為、簡単には落下してこないのです。
バックスピン量は多すぎても少なすぎてもいけない
打ち出したボールを上に押し上げてくれるバックスピンは絶対に必要なものです。しかしそれにも適正量というものがあります。
ドライバーで打ち出された直後のボールはバックスピンによって発生した揚力が重力よりも勝っている為、飛球線方向に前進していきながら上昇していきます。しかし、空気抵抗によってバックスピン量が減少してくると揚力も低下。やがて重力に逆らえなくなって、落下してきます。
ドライバーの飛距離を伸ばすなら高弾道・低スピン
ドライバーで飛距離を出す為には高弾道・低スピン(打ち出し角12°〜17°、バックスピン量2200〜2400回転)で打ち出せるのが理想とされています。しかし飛距離不足に悩むアマチュアゴルファーのほとんどが実は低弾道・高スピンになっています。
バックスピン量はクラブの特性もありますが、打ち方でいくらでも変わってしまいます。吹け上がりに悩むアマチュアゴルファーの場合、バックスピン量が4000回転以上になってしまうことも珍しくありません。これだけのバックスピンがかかっていると、打ち出し直後から強力な揚力が発生しボールが高く吹け上がってしまうのです。
自分はボールの打ち出し角が高くて飛距離をロスしていると思い込んでいる人でも、実は打ち出し角自体は低いのにバックスピンで吹け上がってしまっているケースが多いのです。
この事実を認識しないまま、自分はヘッドスピードが速いからボールが上がってしまうのだと勘違いをして9.5°や8.5°といったロフト角の少ないクラブを握っても、バックスピン量はさほど変わらないので、同じような吹け上がりが起こって結局飛びません。そういう人はロフト角を減らすのではなく、低スピン設計のドライバーにすると良いでしょう。
実はドライバーの進化はこの低スピン化の追求でもあります。バックスピン量を抑えるには重心よりも高い位置でボールをヒットする必要があります。低スピン設計のドライバーが低重心なのは、 ヘッドの重心が低ければ重心よりも高い位置でボールをとらえることができるからです。さらに重心が浅い方がバックスピン量を抑えられます。その為、低重心で浅重心が飛ぶドライバーに適した重心位置なのです。
以上、なぜバックスピンでボールが上がるのか?バックスピンと揚力のメカニズムでした!
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