僕が初心者だった頃、「レッスンを受けないで、自力で上達するのが格好いい」という何の意味もない変なプライドを持っていて、独学でゴルフの練習に励んでいました。
初めはただ闇雲にボールを打つ日々でしたが、それではさすがに厳しいと感じて有名レッスンプロのDVDを見たりゴルフ雑誌を読んでは、プロのスイングを分析して見よう見まねでボールを打つ日々でした。
しかし、そんな方法では全く上手くならないのがゴルフです。僕も御多分に洩れず、110〜130くらいの、数えるのも嫌になるくらいのスコアを連発していました。ドライバーを振ってはスライスでOB連発。100を切るなんてとてつもなく高い目標に思えました。
それでもマグレだけで上手くいく場合があるのもゴルフです。はじめて100を切れた時には、ものすごい達成感と共に自分もやっと上達できた!と大喜びしました。
しかしそれはただのマグレだったのです。
すっかり上手くなったつもりで望んだ次のラウンドで、また100を叩きました。そしてその後は100を切るどころか逆に110前後で安定してしまったのです。毎週欠かさずに練習を続けているのに、いつまで経っても100を切れる気配などありませんでした
ある日のラウンドでOBを連発し、とうとう120も叩いてしまいました。さすがに心が折れ「もうゴルフはやめよう」と決意しました。ゴルフクラブを物置にしまい、1ヶ月くらいクラブを握りませんでした。
しかし、悔しくて悔しくて、どうしても諦めることが出来ませんでした。
一度始めたことを途中で投げ出すのが嫌という性格もありますが、マグレでも100を切れた時の達成感がどうしても忘れられなかったのです。そして何より、僕はやはりゴルフが大好きだったのです
「もう半年だけ頑張ってみよう!今度はちゃんとレッスンにも通って、本気でゴルフに向き合ってみよう。全力で頑張ってみて、それでもダメならきっぱりと諦めよう。」
そう決意を新たにしたのでした。
レッスンプロ わさお先生との出会い
きちんとレッスンを受けようと決意したのですが、どこでレッスンを受けるべきか悩みました。レッスンプロはどの練習場にもいますが、習うプロによっては全く上達できないこともあると聞いていたからです。
そこで、近所のゴルフ仲間に相談してみたところ、車で30分くらいのところにある練習場のオーナーがレッスンプロも兼任していて、そのレッスンがとても良いと聞きました。
僕は電話で予約を入れて、早速その練習場に行ってみました。
初めて訪れたその練習場はかなり年季の入った所でした。(これは動くのだろうか?)と思うようなボール販売機にボロボロの練習マット。お客さんは地元のおじいちゃんばかりでした。
ストレッチをして待っていると「あなたが電話くれた方?」と話しかけられました。「はい、そうです!よろしくお願いします!!」
そのおじいさんは、歳は70過ぎくらいなのに身長が170くらいあり、太めで大きな体。年齢の割に体格が良いのです。そして何より特徴的なのは真っ白でフサフサな髪の毛が爆発しているのです。それはもう、ものすごいボリュームでした。
(何かに似てる・・・)
そう思った僕が思い出したのは、あの映画にもなった秋田犬の わさお でした!ブサカワ犬として大人気になったあの わさお の顔にそっくりだったのです!!
僕は心の中で (わさお先生) と呼ぶことにしました。
重要なのは「軸」と「腕の振り」
わさお先生から「とりあえずスイングを見たいから、好きなクラブでいつも練習しているようにボールを打って見せて」と言われました。
僕は8番アイアンとドライバーで5球ずつフルショットしました。どちらも力無いフケ玉がヒュルヒュルとスライスしていきます。それをじっと見つめていたわさお先生は口を開きました。
わさお先生「練習する時はいつもそうやってフルショットしてるの?」
私「はい、そうです。」
わさお先生「ゴルフを始めてどれくらい?」
私「2年ちょっとです」
わさお先生「普段どれくらいのペースで練習しているの?」
私「毎週土日にかかさずに、1回につき100球くらいです」
わさお先生「そんなに練習してるの?じゃあもっと上手くなってもいいね」
私「・・・」
わさお先生「体が柔らかくてスイングが大きい。それは後々きっと武器になる。でも体が回転し過ぎていてスイングに軸がなさ過ぎる。そして何より腕が全然振れていないから飛ばないし、曲がるんだ。」
私「軸 ですか?? それに、腕は使うなってDVDでプロが言ってたんですけど・・・」
わさお先生「そうなんだ。でも、スイングで最も大切なのは 軸 と 腕の振り なんだよ。軸がしっかりあって、腕も振れると、ヘッドが走るようになる。そうするとボールが飛んで曲がらなくなるんだ!」
私「そうなんですか・・・。でも先生、その軸はどうやって身につければいいんですか?」
わさお先生「軸を身につけるには振り幅の小さいスイングから練習するのが一番だ。逆にフルスイングばかり練習していると、軸がズレてスイングを壊しやすい。それが癖になったら余計にどんどん下手が固まるよ。」
私「なるほど・・・。では先生、早速ご指導お願いできますか?」
わさお先生「それはいいんだけど。初めてに言っておくことがある。僕が教える練習は地味でつまらないし、指導するのも月に1回だけだけどいい?」
私「えっ?月に1回だけですか?できれば毎週教えて頂きたいのですが。」
わさお先生「いや、僕の教えるゴルフスイングというものは地道なドリルをコツコツと積み重ねて作っていくものなんだ。たくさんレッスンしたからと言って効果が出るものでもない。それよりも自分で行う反復練習の方が100倍重要だ。月に1度のレッスンで ”必ず上達する練習ドリル” を教えるから、教わったらそれを自分でみっちり練習してきてちょうだい。」
やる気満々だった私は完全に拍子抜けしました。でも仕方ないので、わさお先生の言う通りに頑張ってみることにしました。