クラブヘッドの「重心深度」がショットに与える影響
重心深度は、①重心からフェース面までの距離と定義される場合と②重心からリーティンエッジまでの水平距離と定義される場合の二通りがあります。メーカーごとに定義が異なるだけでなく、同じメーカーでもドライバーとアイアンで定義が異なっている場合もあり、ユーザーを惑わせることがあります。当サイトでは②重心からリーティンエッジまでの水平距離を重心深度と定義します。
ドライバーの重心深度の平均値は36.6mmで、38mm以上あると重心が深い(深重心)、35mm以下だと重心が浅い(浅重心)とされています。
最近のドライバーはこの重心深度が深い「深重心」と逆に浅い「浅重心」のどちらかに寄った設計が多くなっています。それぞれにメリットとデメリットがあるので、順に見てみましょう。
ドライバーの重心深度の平均値は36.6mmで、38mm以上あると重心が深い(深重心)、35mm以下だと重心が浅い(浅重心)とされています。
最近のドライバーはこの重心深度が深い「深重心」と逆に浅い「浅重心」のどちらかに寄った設計が多くなっています。それぞれにメリットとデメリットがあるので、順に見てみましょう。
深重心ヘッドの特徴と打球への影響
深重心のヘッドは重心を後ろに下げる為に後方に長く、逆にフェース側の重量を軽くする為に薄いシャローフェースのものが多くなります。さらにヘッド容積は460cc以下とルールで決まっているので、横から見るとヘッド後方に行くほど薄く、三角形状になるクラブが多いです。
打球への影響としては以下の3つが挙げられます。
【影響1】直進性が高い
深重心ヘッドはまず直進性が高くなります。重心が深ければ深いほどヘッド左右慣性モーメントが高くなるので、インパクトの瞬間にヘッドがブレにくくなるからです。多少芯を外しても真っ直ぐ飛んでくれるので、ミスに寛容なクラブであると言えます。
アマチュアゴルファーでも重心が5mm深くなるとヘッドのブレずらさを体感できるくらい、重心の深さは直進性に影響します。
【影響2】つかまりが良い
深重心ヘッドは基本的に重心角度が大きくなります。その為、ダウンスイングでリリースするとヘッドが返りやすく、つかまりが良いクラブだと言えます。つまりスライスの抑制にも効果的です。
【影響3】ボールが上がりやすい
最後に深重心ヘッドはボールが高く上がりやすくなります。これは先に説明した通り、重心がインパクト前後で遠心力方向に行こうとする力が働き、インパクトの瞬間ヘッドが少し上を向き、打ち出し角度が高くなることとバックスピン量が増加することが原因です。
バックスピン量が増加すると揚力が発生し、ボールが上に向かって行くのと同時にサイドスピン量を抑えることができ、結果直進性がより高まります。
<深重心ヘッドの打球への影響>直進性が高い(ヘッドがブレない)
つかまりが良いボールが高く上がる
浅重心ヘッドの特徴と打球への影響
浅重心のヘッドは重心を前に集める為に後方にはコンパクトで、逆にフェース側の重量を重くする為に厚いディープフェースのものが多くなります。従ってヘッドの容積は大きくても440cc以下のものが多いものの、横から見ても全体的に厚みのある仕上がりになります。
打球への影響としては以下の3つが挙げられます。
【影響1】球を曲げやすい
浅重心ヘッドは重心がシャフトに近い為、ヘッドを左右に動かしやすく球が曲がりやすいクラブだと言えます。打点にバラツキのある初心者が使うと球が曲がって大変なことになりますが、上級者は曲げたい時に意図的に曲げられるので扱いやすいのです。こういうのを操作性が良いと言います。【影響2】つかまりが悪い
浅重心ヘッドは基本的に重心角度が小さい為、ダウンスイングでリリースしてもヘッドが返りにくく、つかまりが悪いクラブだと言えます。スライサーが使うと大変ですが、インサイドから強烈なリストターンで飛ばしていく上級者にとってはフックの抑制に効果的です。【影響3】低スピン強弾道
浅重心ヘッドは低スピンで強い球を打つことができます。これは重心が浅いことでインパクトの瞬間のヘッドの上向きを抑えられ、打ち出し角度も高過ぎず、バックスピン量も抑えられることが原因です。バックスピン量が少ないとボールが上に吹け上がるのを抑え、風に左右されない強い球になります。また打ち出し角度の抑えられた強い球はランが出て、結果飛距離が伸びるのです。
<浅重心ヘッドの打球への影響>球を曲げやすい(ヘッドを左右に動かしやすい)
つかまりが悪い低スピン強弾道
重心震度のまとめ
ここまで書くともうお分かりかと思いますが、深重心のドライバーは初心者〜アベレージゴルファー向き、浅重心のドライバーは中〜上級者向きです。
各メーカーで、同じブランドのドライバーなのに深重心と浅重心の2タイプのクラブを出していることがよくありますが、これは簡単なクラブと難しいクラブをラインナップしているのです。
例えば、タイトリストの917D2と917D3では、D2が深重心でやさしめ、D3が浅重心で難しめとなっています。そして、それに応じてヘッド体積や重心距離、重心高さなど他のスペックもそれぞれ初心者向けと上級者向けに振ったセッティングがなされているのです(917シリーズは同じタイトリストのVG3などと比べると、そもそも難しめのクラブですが・・・)
このように、上で記した見た目の特徴からどちら寄りのクラブなのかだいたい見当がつきます。クラブ選びの際には是非参考にしてみてください
以上、クラブヘッドの「重心深度」がショットに与える影響 でした!