アイアンのヘッドの製造方法は大きく分けると鍛造か鋳造のいずれかになります。
鍛造製法と鋳造製法
「鍛造製法(たんぞうせいほう)」とは金属を叩いたり高圧をかけて成形する金属加工方法で、刀鍛冶が金槌で鉄を鍛えて刀を作るのと同じ原理です。アイアンを作る場合それを機械で行っています。加工する過程で素材が圧縮されて粘り強く丈夫になるので柔らかい金属を用いることができることが最大の特徴です。
「鋳造製法(ちゅうぞうせいほう)」とは高温でドロドロに溶かした金属を金型に流し込んで成形する金属加工方法で、硬貨などを作るのと同じ原理です。溶かしたものを金型で成形するので以下のような特徴があります。
- 複雑な形が作れる
- 同じものをたくさん早く作れるので比較的製造コストが安い
- ステンレスやチタン合金など非常に硬い金属でも加工することができる
- 複数の金属を組み合わせることができる
軟鉄鍛造アイアンの特徴
軟鉄鍛造アイアンの特徴
打感が柔らかい
操作性が良い
ライ角調整ができる
前述の通り、アイアン製造における鍛造製法の最大の特徴は柔らかい金属を用いることが可能だということです。アイアン製造では軟鉄という炭素含有率が低くて純度の高い鉄がよく用いられます。
軟鉄鍛造アイアンのメリットとしては打感の良さが挙げられます。柔らかい金属はボールとの衝撃による振動を抑えてくれる為、吸い付くような柔らかくて気持ちの良い打感になります。またインパクトでボールがフェース面と接する時間が長くなるので操作性も良くなります。他にも柔らかい金属であることから、ネックを力で曲げてライ角調整することが出来るのも特徴の一つです。これらの特徴から、軟鉄鍛造アイアンは中・上級者向けのクラブとして設計されることが多いのです。
ちなみに鍛造製法のことを英語でFORGED(フォージド)といい、鍛造アイアンにはその文字が刻印されていたりします。たまにFORGED=軟鉄と誤解している人がいますが、実際には鍛造製法でも軟鉄以外の合金などが使われていることもあります。その場合、FORGEDの刻印がされているからといって無理にライ角調整しようとすると折れてしまうこともありますので注意が必要です。
鋳造アイアンの特徴
鋳造アイアンの特徴
ボールが上がりやすい
曲がりにくい
反発係数が高く飛距離が出る
鋳造製法は金属を溶かして金型で成形するので、ステンレスやチタン合金などの硬い金属を複数組み合わせて、細かな加工ができることが最大の特徴です。
例えばソール幅の広いポケットキャビティ作る際、ソール部分に重い素材を使用することによってクラブヘッドの深重心&低重心化を図ることができ(イメージ図1)自然とボールが上がるクラブにすることが可能です
深重心&低重心でボールが上がる理由はこちらの記事も参照ください
また、フェース面以外の部分に重い金属を使うことでヘッド左右慣性モーメントを高めることができ(イメージ図2)曲がりにくいクラブにすることも可能です
さらにステンレスやチタン合金などの硬い金属を使えば、反発係数の高いアイアンを作ることができるので、力の弱い女性や年配の方でも楽に飛ばすことができます。
このように様々な金属を組み合わせつつ複雑な成形も可能なので、プレーヤーを助けるいろいろな機能を付加することができるのです。その為、鋳造アイアンは初心者向けのクラブとして設計されることが多いのです。
以上、鍛造アイアン(FORGED:フォージド) と 鋳造アイアンについてでした!
以上、鍛造アイアン(FORGED:フォージド) と 鋳造アイアンについてでした!