ゴルフは非常に難しいスポーツだと言われます。たくさん練習しているのになかなか上達しない、とお悩みの人も多いのではないでしょうか?
ゴルフが難しい理由の一つはゴルフクラブの特異性にあります。野球・テニス・卓球・バドミントンなどボールを道具を使って打つ球技はたくさんありますが、ゴルフクラブほど特殊な道具を使うスポーツはありません。
何がそんなに違うのか?今回はそんなゴルフクラブの特異性について考えてみましょう。
特異性1. 打点がグリップの延長線上に無い
ゴルフクラブが特殊な道具だといわれる最も大きな理由がこれです。バットでもラケットでも、打点(ボールを打つ場所)は必ずグリップの延長線上にあります。だからこそ高速で動いているボールでも比較的容易に芯でとらえられるのです。
ところが、ゴルフクラブの打点(フェース面)はグリップの延長線上にありません。だから止まっているボールを打つだけなのに空振りしたり、芯でとらえるのが容易ではないのです。
では上手い人はどうやっているのかというと、腕の力を抜いてヘッドの重み(重心)を感じながら打っているのです。長い棒を振ってボールに当てようとすると、人間の脳は無意識のうちにその棒の重心を感じとってスイング軌道を調整します。それがゴルフクラブのようにグリップの延長線上に無くても同様です。腕の力を抜くことでヘッドの重心を感じやすくなりますし、腕で余計な操作をすることもなくなるので、上手く打つことができるのです。
一方、初心者は腕に力が入っていて、腕の力でボールを打とうとします。しかし力が入っているとヘッドの重心を感じることができず、ボールを芯で打つことはできません。そもそも腕で当てようと操作しても、グリップの延長線上にはフェースが無いのでまともに当たるわけがないのです。
この重心のズレがゴルフを難しくしている一番の原因と言っても過言ではありません。
特異性2. ヘッドが遠い
道具を使ってボールを打つ場合、打点とグリップはなるべく近い方が打ちやすいといえます。卓球のラケットなら10cmくらいですし、テニスのラケットでも30cmくらいでしょうか。野球のバットでさえも50cmくらいしか離れていません。
しかしゴルフクラブはグリップとフェース面がかなり離れています。最も短いパターでさえも70cm前後、ドライバーに至っては100〜120cmほど離れています。それに対してボールはわずか直径4cmほど。そんな小さなボールを狙って、長いクラブを手で操作して打つことはかなり難しいのです。
特異性3. ヘッドが金属製
ボールを打つ打点部分が金属製というのもゴルフクラブの特異性の一つです。ボールを打つ競技で金属製の道具を使うのは、ゴルフと野球の金属バットくらいではないでしょうか?
打点部分が金属製ということは反発係数が高いので、ボール初速が高まり飛距離が出ます。野球はボールの表面がそれほど硬くないのでプロの打球でも100〜150mくらいしか飛びませんが、ゴルフの場合ボール自体も非常に硬く反発係数が高いので初心者でもドライバーで200m以上飛ばすことが可能です。
しかし、ゴルフにおいて飛距離が出ることは良いことばかりではありません。野球ならライト線からレフト線の90°の中で飛ばせばホームランになりますが、ゴルフの場合はセーフティゾーンはわずか15°程度しか無く、それを外れるとOBになるからです。
金属製のクラブで小さく硬いボールを打てば、わずかな打点のズレでも強烈なサイドスピンがかかり曲がります。飛距離が出るクラブで打てば、その曲がり幅も大きくなるのでそれだけ難しくなるのです。
クラブ特異性のまとめ
ゴルフクラブは全ての球技の中でも非常に特異な性質を持っています。だから人間が本能のままにスイングをしても上手く打てなくて当然なのです。
ではどうすれば良いのかというと、ゴルフクラブの特性を活かすスイングを身につけるしかありません。そして、その為には知識としてしっかり理解しておく必要があるのです。