頭脳的ゴルフ道

格安でラウンドしたりゴルフクラブを入手する方法・上達する練習方法・コース戦略・クラブの選び方など。頭を使えばゴルフはもっとお得に、もっと楽しめます!

ゴルフクラブ3種類の「慣性モーメント」

 

 

 

ゴルフクラブの特性を語る上で、よく出てくる言葉の1つに「慣性モーメント」というものがあります。「慣性」というのは学生の頃に理科の授業で習った止まっている物体は止まり続けようとし、動いている物体は動き続けようとするというアレです!

慣性モーメントはこの「慣性の法則」の回転版のようなもので、1つの軸を中心として、物体を回転させようとしたり、止めようとした時に必要な力の大きさを表します。

つまり慣性モーメントが大きい物体は、止まっている状態から回転させるのには大きな力が必要となりますが、逆に回転している状態から止めるのにも大きな力が必要となります。


 

ゴルフクラブにおける3種類の慣性モーメント


ゴルフクラブの場合、ひとえに慣性モーメントと言っても実は3種類あります。


3種類の慣性モーメント

  • ヘッド左右慣性モーメント
  • ネック軸周り慣性モーメント
  • クラブ慣性モーメント


これらはそれぞれ働きが全く異なります。ゴルフ雑誌などで「慣性モーメント」とだけ書かれていて、どの慣性モーメントについての言及かわからない記事をたまに見かけますが、きちんと区別して正しい知識を身につけましょう。


ヘッド左右慣性モーメント


最もよく使われているのがヘッド左右慣性モーメントです。これはその字の通りヘッドの重心を軸とした、ヘッド(具体的にはフェース左右)の回転のしにくさを示します。

f:id:haraberashi:20161022072204p:plain


フェース上にある芯(フェース上に投影した重心)でボールをヒットした時には、クラブヘッドは真っすぐのまま動かない為、打球は曲がらずに飛びます。しかし芯を外してボールをヒット(オフセンターヒット)した場合には、その衝撃によってクラブヘッドは重心を軸としてわずかに回転します。これをヘッドの「ブレ」といいます。

芯よりもフェースのトゥ側(上図①部分)でボールをヒットした場合、クラブヘッドは重心を軸として赤い矢印の方向にブレます。このヘッドのブレによって、ボールには余計なサイドスピン(フック回転)がかかり、フックが発生しやすくなります

逆に芯よりもフェースのヒール側(上図②部分)でボールをヒットした場合、クラブヘッドは重心を軸として青い矢印の方向にブレます。このヘッドのブレによって、ボールには余計なサイドスピン(スライス回転)がかかり、スライスが発生しやすくなります

ヘッド左右慣性モーメントが大きければ、例えオフセンターヒットした場合でもこのヘッドのブレを抑えることができます。この許容範囲のことをスイートエリアと言います。

zunoutekigolf.hateblo.jp



つまり、基本的にヘッド左右慣性モーメントが大きいクラブほど直進性の高い打球を打つことができます。上級者などでクラブの操作性を重視するプレーヤーを除けば、この値は大きければ大きいほど良い数値であると言えます(ただしヘッド左右慣性モーメントが4500g㎠以上になると大差なくなります)。

ちなみにヘッド左右慣性モーメントはヘッドの体積に比例して大きくなります。その為、ヘッド体積の上限は460ccヘッド左右慣性モーメントの上限は5900g㎠とルールで定められています。

パーシモン時代にはヘッド体積が200cc未満だったのでヘッド左右慣性モーメントも2000g㎠ぐらいでしたが、最近の440〜460ccの大型ヘッド時代では4000g㎠台が主流となっています。つまり昔に比べるとボールはかなり曲がりにくくなっているわけです(例えば現在の大型ヘッドで10mくらい曲がるミスと全く同じミスをパーシモンでしてしまうと計算上は30m以上曲がることになります)。


サイドスピンのメカニズムに関しては下記をどうぞ。

 

ネック軸周り慣性モーメント


ネック軸周り慣性モーメントもその名の通りクラブヘッドのネックを軸としたフェースの回転のしにくさのことです。

f:id:haraberashi:20161022173638p:plain

 
クラブヘッドはバックスイングの始動と同時にフェースを開きながらトップを迎え、ダウンスイングでフェースを閉じながらインパクトを迎えます。この動きの中で、ネック軸周り慣性モーメントの値が小さいほど、フェースの開閉がしやすく、クラブの操作性が良くなります。

上級者は低い球を打つ為にフェースを閉じたり、フェードを打つ為にフェースを開いたりと、フェースを意図的に開閉することで様々な球筋を打ち分けますが、ネック軸周り慣性モーメントが小さければ、それが容易に行えるようになります。

しかし、フェースの開閉がしやすいクラブというのは、初心者などフェースコントロールがうまく行えない人にとってはシビアで難しいクラブとなります。意図しないのにフェースが開いたままインパクトを迎えてスライスしたり、逆に急激にフェースが閉じてしまいフックが出たりと、まっすぐ飛ばすことが困難になるからです。

一方で、ネック軸周り慣性モーメントの値が大きいほど、フェースの開閉がしにくくなります。

するとフェースが急激に開閉することがなく、スクエアでインパクトを迎えられる可能性が高くなります。
 
この為、ネック軸周り慣性モーメントは大きければ大きいほど良い、と思われるかもしれません。
 
しかし、フェースを閉じる動きが身についていない初心者にとっては、フェースが開いたままインパクトを迎える原因ともなります。
 
つまり、この数値はほどほどな方が良いのです。



クラブ慣性モーメント


クラブ慣性モーメントはプレイヤーの体を軸とした、クラブ全体の回転のしにくさ(振りにくさ)のことです。

f:id:haraberashi:20161022173711p:plain


ゴルフクラブは長ければ長いほど、重ければ重いほど、振りにくくなります。クラブ慣性モーメントが高いクラブというのはそういうクラブのことです。

振りにくいというとデメリットばかりのように聞こえますが、長くて重いクラブは遠心力が高まり運動エネルギーも増加する為、ボールを遠くまで飛ばすことができます十分なヘッドスピードで振ることができる範囲で、クラブを長く重くすることはプレイに大きなメリットをもたらせてくれるのです。


以上、ゴルフクラブ3種類の「慣性モーメント」でした!



 関連記事